世界最大の光学望遠鏡 国立天文台の望遠鏡「すばる」 | 日本の世界一

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2010年1月3日

世界最大の光学望遠鏡 国立天文台の望遠鏡「すばる」

1998年、ハワイ島マウナケア山頂(標高4,206m)に完成した国立天文台の大型光学赤外線望遠鏡「すばる」。1999年1月、ファーストライト。

光を集める主鏡の直径は8.3m(実際に使われる部分は直径 8.2m)で1枚鏡としては完成当時、世界最大だった。主鏡は、温度差による伸縮を抑えるために、特殊な超低熱膨張ガラスを使用、製作開始から研磨終了まで7年の歳月をかけて作製された。すばる望遠鏡は反射鏡の大きさばかりでなく、数々の新しい技術革新で装われた、世界最先端の望遠鏡である。高い鏡面精度を維持する能動光学をはじめ、空気の乱れを押さえる円筒型の新型ドーム、4つの焦点それぞれに備えられた独自の観測装置やそれらを効果的に用いるための自動交換システムなどがある。また、555トンの望遠鏡本体を、1人で押して動かせる程に、摩擦が少なく、鏡と機械と駆動制御が組み合わさった、超ハイテクな望遠鏡である。

主鏡を支える能動光学と解像力

重さを最小限にするため、直径8.3mの主鏡のガラスの厚さは、たったの20cm。形を保持するために、261本のアクチュエータと呼ばれるロボットの指が裏から主鏡を支え、望遠鏡がどの方向を向いても、即座に鏡の変形を直し、常に鏡を理想的な形に保つ。1本のアクチュエータで、70kgから150kgまでの力を自由に操り、しかも5gの力の差を感知することができる。滑らかに磨かれた鏡は、14nmという誤差の鏡面精度でコンピュータ制御されている。さらに、風通しの良い円筒型の新型ドームと最適な温度制御を行なうことによって、空気の乱れを少なくし、星像の乱れを抑えることにも成功しており、富士山頂の野球ボールが都心から見える精度をもっている。頑丈な望遠鏡構造とリニアモーター駆動によって、天体の追尾誤差0.1秒角以下という超高精度の天体追尾が実現された。

4つの焦点と観測装置

すばる望遠鏡は、主焦点、カセグレン焦点、そして2つのナスミス焦点という、4つの焦点を持っている。集めた光を電気信号に変換処理するのが焦点に置かれた観測装置であり、すばるには、計7個の観測装置と、1個の補助観測装置がついている。これらの観測装置と4つの焦点により、可視光から赤外線までの様々な波長を観測できる。

「すばる」という名前の由来

「すばる」はプレアデス星団の和名。遠く奈良時代から親しまれてきた大和言葉で、清少納言が「枕草子」に「ほしはすばる、ひこぼし、おりひめ」と使っている。望遠鏡の建設が始まった1991年に名前の公募を行ない、全国から集まった3,350通の中から「すばる」が選ばれた。

すばる望遠鏡のこれまでと今後

口径8から10メートルの望遠鏡が世界で10台ほど運用されるようになっているなか、すばる望遠鏡は今も、星像のよさ、主焦点の利用による広い視野で特に高い評価を得ている。2006年9月には、これまでの記録を更新する、約128億8千万光年離れた最も遠い銀河の発見に成功した。そして、さらなる星像のシャープさを求めて、画像がぼやける原因となる大気の「揺らぎ」を自動的に補正する、「レーザーガイド星補償光学系」を2008年から運用予定。望遠鏡の精度を大幅にアップする技術であり、ハッブル宇宙望遠鏡を二倍近く上回るシャープさで、世界最高レベルの装置になると期待されている。