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2007年10月22日
2005年9月、ホンダは「二輪車用エアバッグシステム」を、量産二輪車用として世界で初めて開発した。これは、二輪車が前面衝突した際に、ライダーの傷害を軽減させるエアバッグである。
このシステムを搭載した大型バイクが時速50キロで、停止している四輪車の側面へ衝突した場合、加速度センサーが衝撃を感知し、エアバッグ電子制御ユニットが衝突を判定するまでの時間は約0.015秒。約0.06秒後にはエアバッグの展開が完了し、約0.15秒の時点でライダーの前方への運動エネルギーの吸収を完了し、ライダーが前方に放り出されるのを防ぐ。
ホンダは、ライダーの傷害軽減の取り組みにあたり、死傷事故データの分析を行なった結果、日本、米国、欧州ともに、二輪車前面での衝突が多く、ライダーは二輪車から離脱後に相手車両や路面などから受ける打撃による傷害が多いという結論を得、それらの傷害を効果的に軽減することを目的に開発を始めた。その具体的な技術のひとつとしてエアバッグに着目した。
1990年から研究を開始し、1996年からは、様々な形態の衝突テストを行ない、二輪車用エアバッグの効果性を追求した。さらに、コンピューターシミュレーション技術を駆使し、高精度で衝突現象を再現でき、乗員(ダミー)の負傷レベルを評価でき、多様な衝突条件での効果性を検証できる衝突シミュレーション技術を構築した。
この二輪車衝突テスト専用のダミーは、四輪車用とは異なり、ダミー内の装置に計測データが記録され、ダミーの動きに影響を与えるような計測ケーブルを必要としない。また頭部、頚部、胸部、腹部、脚部と、ほぼ全身にわたる傷害値の計測評価が可能となっている。
二輪車用エアバッグシステムは、シートベルトやキャビンが無いこと、衝突時の車体挙動が複雑なこと等から、実用化が困難であった。エアバッグをつけるなら、あらゆるケースで衝撃を吸収しなければ意味がないとの考えの下、コンピューターを使っての、400パターンに及ぶ衝突シミュレーションには計2万時間を要し、衝突テストでは1台300万円する最高級大型バイク「ゴールドウイング」を百数十台、“おしゃか”にしたという。ライダーの運動エネルギーを効率よく吸収する二輪車用エアバッグの形状開発にも模索し、結局、完成までに15年を要した。
なお、1987年に国産車で初めてエアバッグを搭載したのも、ホンダである。