世界初、醸造酒の原料をDNAで特定 食品総合研究所 | 日本の世界一

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2009年12月26日

世界初、醸造酒の原料をDNAで特定 食品総合研究所

2007年8月、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所は、日本酒を分析して、原料の米の品種を判別する技術を世界で初めて開発した。ワインの原料であるブドウの品種判別も出来るということで、これまで出来なかった醸造酒の原料の偽装を確認する方法として期待される。

日本酒やワインなどの醸造酒は原料のDNAが微量に残っている為、このDNAをPCR法(注)で調べて原料を特定することが理論的には可能である。しかし、実際は以下の理由により、原料のDNAのみを分離することが困難だった。

a.発酵の過程で原料DNAが分解し、微量のDNAしか残らないこと
b.日本酒に含まれる麹菌や酵母のDNAと混ざってしまうこと
c.PCR法をを阻害する成分が日本酒に混在すること

同研究所では、上記の測定阻害要因を解決する為、以下の3つの方法を開発し、日本酒の原料米の特定が可能となった。
a.アミラーゼ(澱粉分解酵素)とプロテアーゼ(蛋白分解酵素)を用いる「酵素法」と、糖質を効率的に除去出来る「CTAB法」を併用して、炭水化物、蛋白質、糖質を除去し、DNAの抽出効率を上げる方法を開発した
b.麹菌や酵母由来のDNAを増幅させずに、原料米のDNAのみを増幅させるプライマー(核酸の断片)を選定した。
c.日本酒やワインに含まれるポリフェノール等のPCR阻害物質とDNAを分離する為に、70%エタノールによる精製過程を加える方法を開発した。

この方法で市販の日本酒を調べたところ、「コシヒカリ100%」表示品からコシヒカリ特有のDNAが検出されなかったり、「山田錦100%」表示品から他品種の米DNAが検出されたということがあったという。

この方法は日本酒、ワイン以外にも、ビールの原料植物特定にも応用が期待出来るということである。

(注)PCR法(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応法)
増幅したいDNAを、DNAポリメラーゼ(合成酵素)を用いて、短時間で大量に増幅する方法。

参考資料

食品総合研究所 プレスリリース
http://www.nfri.affrc.go.jp/research/press/070809.html