世界初、電子顕微鏡で固体と気体の化学反応の観察に成功 | 日本の世界一

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2009年12月28日

世界初、電子顕微鏡で固体と気体の化学反応の観察に成功

2008年6月、北海道大学工学研究科の大貫惣明と広島大学先進機能物質研究センターの小島由継の共同研究グループは、電子顕微鏡を用いて固体の水素化合物と気体の化学反応を、ナノメートルレベル(1nm=10億分の1m)でその場観察することに世界で初めて成功した。自動車用燃料電池の水素貯蔵材料の開発には、水素化物の反応機構の解明が不可欠であり、世界中の研究者たちが水素化物と気体の化学反応過程のナノレベルでの観察を望んでいたが、これまで実現していなかった。

電子顕微鏡は試料の原子構造を見ることが出来る程、高い倍率での観察が可能である。しかし、観察する際に使用する電子ビームが気体に当たると像がぼやけてしまう為、試料は高真空中に置く必要があり、固体と気体の反応はこれまで観察出来なかった。

今回、共同研究グループは試料が気体に覆われた状態で、高真空中での観察を可能にする特殊容器「環境セル」を開発した。この容器に試料を入れることで、2気圧までの気体中で電子顕微鏡での観察が出来る。これを用いて、同グループは固体の水素化リチウムや水素化ナトリウムがアンモニアガスと室温で反応して、水素が発生する反応を電子顕微鏡で観察することに成功した。

水素化リチウムや水素化ナトリウムはこれまでの水素吸蔵合金などより大幅に軽量であり、水素発生量も多いことから、次世代の燃料電池自動車の水素貯蔵材料として期待される物質である。今回の成果はこれらの開発の進展に大きく寄与すると考えられる。